Letter

細胞:全地球的に重要な海洋性ジアゾ栄養生物Trichodesmiumによるホスホン酸塩の利用

Nature 439, 7072 doi: 10.1038/nature04203

Trichodesmiumなどの海洋性ジアゾ栄養生物で、その増殖速度および窒素固定速度を制御している因子は、こうした過程が炭素・窒素の地球規模の循環や深海への炭素の隔離で果たしている役割のために、集中的に研究されてきた。多くの海洋旋流中ではリン酸濃度が低いため、化学的に不均質な溶存有機リンの大規模なプールの生物学的利用能はTrichodesmiumの生理に大きく影響すると考えられる。本論文では、Trichodesmium erythraeum IMS101ゲノム中の遺伝子群のリンストレスによる誘導について述べる。この遺伝子群は、炭素−リンリアーゼ経路によるホスホン酸化合物の高親和性輸送および加水分解に関係するタンパク質をコードするものと予測されている。今回、サルガッソー海のT. erythraeumの発現解析によってこの遺伝子群の重要性が明らかになった。ホスホン酸は低栄養性の海洋系に存在することが知られているが、海洋性ジアゾ栄養生物にとって利用可能なものとは考えられてこなかった。ほかの海洋性藍藻のゲノムに炭素−リンリアーゼ経路の遺伝子が存在しないらしいことから、有機物源からのリン回収に関してTrichodesmiumはほかの植物プランクトンとは異なる独自の適応を遂げてきたと考えられる。Trichodesmiumがリン酸の乏しい低栄養性環境に広く存在することの一因は、この適応なのだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度