Letter

技術:磁気トンネル接合におけるスピントルクダイオード効果

Nature 438, 7066 doi: 10.1038/nature04207

最近、「スピントロニクス」デバイスの開発が大いに注目されている。このデバイスでは、電子電荷だけでなく電子スピンを利用することで、従来型のエレクトロニクスデバイスで実現可能な性能を超えた、新しい機能性が得られると期待されている。そのルーツが電子のスピン自由度にある効果で、幅広く研究されている1例が、スピン分極電流がナノメートルスケールの磁性体のスピンモーメントに作用するトルクである。このトルクによって、磁気モーメントが実際に応用可能な周波数域で回転するようになる。本論文では、やはりスピンダイナミクスとスピン依存伝導との相互作用に基づいているが、その特異なダイオード的挙動から生じるまったく異なる現象について報告する。ナノメートルスケールの磁気トンネル接合に小さい高周波交流をかけると、スピントルク効果から生じるスピン振動(スピン歳差運動)とその周波数が共鳴するとき、このデバイスの両端には測定可能な直流(d.c.)電圧が発生することを示す。共鳴が起こる外部磁場によって調整可能な周波数で、この構造は電流の方向に応じて異なる抵抗状態を見せる。この挙動は従来型の半導体ダイオードのものとは大きく異なり、遠隔通信回路用のナノメートルスケール高周波検出器を作製する基礎メカニズムとなるだろう。

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