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疫学:スーパースプレッディング現象と疾患発生に個人の差異が及ぼす影響

Nature 438, 7066 doi: 10.1038/nature04153

集団レベルの諸解析では、不均一な系を記述するために平均量を用いることが多く、特定可能な集団から変量が生じない場合にはとりわけそうされる。感染症蔓延を解明するうえで現在重要とされている変量の代表例が基本増殖率(basic reproductive number)R0で、これは未感染者集団内で1名の感染者が引き起こす二次感染者の平均数として定義される。集団についてR0を算定した場合、感染力の個人差がかなり大きくても見えてこない場合がある。この問題は、重症急性呼吸器症候群(SARS)が多数の「スーパースプレッディング現象」によって世界各地に新興した際に浮かび上がってきた。この現象は、特定の感染者からの二次感染例が並外れて多くなる現象である。性行為でない直接的な接触によって伝播するSARSや天然痘などの感染症では、他人への感染力の個人差を実験的に調べることがむずかしく、したがって集団発生の動態における重要性がわかっていない。今回我々は、流行発生における感染力の個人差の影響について、理論的および統計的解析を統合した結果を報告する。直接感染する8つの疾患から得た接触追跡データを用いて、個人の感染力の分布は多くの場合、R0の軸に対して高い歪度を示すことが明らかになった。この個人差を計算に入れたモデル予測は、平均に基づく場合とはっきり違っており、感染症は収束・消滅しやすいものとなり、集団発生は頻度が低いものの爆発的となる。これらのモデルを用いて我々は、集団発生抑制とのかかわりを探り、個人に特異的な抑制措置のほうが集団規模の抑制措置より効率がよいことを示す。さらに、ねらいを絞った抑制措置によって非常に大幅な改善がもたらされることから、高い感染力と相関があると予測される例を見つけ出す必要性がはっきりした。我々の得た知見は、スーパースプレッディング現象が疾患蔓延の正常な特徴の1つであることを示しており、我々は現在進行中の議論を考察するために、スーパースプレッディング現象の厳密な定義とその頻度予測のための方法を提案する。

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