Letter 発生:Fruitlessはショウジョウバエの脳において性差のある神経回路をつくる 2005年11月10日 Nature 438, 7065 doi: 10.1038/nature04229 ショウジョウバエ (Drosophila)のfruitless(fru)遺伝子の産物Fruは、神経系の性決定因子であり、中枢神経系(CNS)の性特異的な発生を方向づけることによって、雄に特有の求愛行動を生み出し、また雄に特異的な筋肉の形成を誘導すると考えられている。雄特異的なFruタンパク質は、ショウジョウバエの雄ではCNS全体にわたって散在する少数の特定のニューロン群で発現しており、雌では発現していない。これらの観察から、Fruは特定のニューロンを「雄性化」し、雄特有の行動の神経回路を確立すると考えられる。しかしながら、Fruの有無によって生じるニューロンの特異的な差異はわかっていない。これまでの研究では、CNS構造における明らかな性差は認められていないことから、FruはCNSにおいて機能的なレベルで性差を生み出していると考えられてきた。本研究で我々は、脳において細胞数と投射パターンに顕著な性差を示す特定のfru発現介在ニューロン群を同定した。また、Fruは雄特異的な樹状突起を持つニューロンの発生を保証するが、雌ではFruが発現しないことで、これらのニューロンが発生中に細胞死するようにプログラムされていることを見いだした。したがって、Fruの発現は、特定のニューロンにおいて細胞死を抑制することにより、雄特異的な神経回路を作り出し、おそらくその回路網によって異性に対する求愛行動が可能になると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る