Letter 気候:火山噴火が海水準と海洋の熱容量に及ぼす数十年規模での重大な影響 2005年11月3日 Nature 438, 7064 doi: 10.1038/nature04237 海洋の熱膨張は、海水準の変動や上昇に大きく寄与している。しかし、観測された海洋の熱容量や海水準の数十年規模の変動は、気候モデルではあまりよく再現されていない。火山噴火の際に成層圏に流入するエアロゾルは入射する太陽光を散乱し、大気の急激な冷却と降雨の減少をもたらすが、これら以外にも気候システムでさまざまな変化を引き起こしている。本論文では、海洋の熱容量の観測と複数の気候シミュレーションの結果を用いて、大規模な火山噴火が原因となって海洋の熱容量と全球平均海水準が急激に低下したことを示す。ピナツボ火山の噴火では、海洋の熱容量が約3×1022 J減少し、全球海水準が約5 mm低下したと推定される。この噴火に続く3年間には、最大で0.1 mm d-1に及ぶ蒸発量の減少が見られ、これは陸上で観測される平均降水量の変化に匹敵する量である。1991年のピナツボ火山噴火後の海水準の回復を考えれば、1950年から2000年にかけて見られた年間1.8 mmという長期間の海水準上昇率と、衛星高度データが利用可能となった1993年から2000年までのより現在に近い期間において推定されたさらに高い上昇率との差の半分程度が説明可能である。 Full Text PDF 目次へ戻る