Letter

生物物理:酵素の本来的な運動が触媒作用の基礎をなす

Nature 438, 7064 doi: 10.1038/nature04105

酵素による化学触媒作用の独特な特徴は、触媒的に反応性をもつ原子が折り畳まれたタンパク質の中に埋め込まれていることである。酵素の機能についての現在の知見は化学反応と静的な3次元構造に集中しているものの、タンパク質の動的な性質が触媒作用において機能を持つことも提案されている。準安定な状態(conformational substate)という概念が出されているが、タンパク質の柔軟性と酵素機能との密接な関係を解明することは困難である。今回我々は、タンパク質が本来もつ可塑性が触媒反応の鍵となる特徴であることを示す。プロリルcis-transイソメラーゼであるシクロフィリンA(CypA)の基質を結合していない状態と触媒反応中の運動の特徴をNMR緩和実験で調べた。触媒反応中に検出された特徴的な酵素の運動は、遊離の酵素にすでに存在しており、その周期は触媒の代謝回転速度に一致していた。この相関から、触媒反応に必要なタンパク質運動は酵素固有の性質であり、反応全体の代謝回転速度を決めている可能性さえあることが示される。運動は活性部位だけでなく、もっと広範な動的ネットワークに及んでいる。タンパク質中での連関したネットワークは以前から提案されていたが、我々はCypAの変異体を用いて運動の集合的性質を実験により測定した。触媒反応以前に酵素内に集合的運動があらかじめ存在することは生体触媒に共通の特徴であり、タンパク質は構造と運動の間の相乗的な圧力のもとで進化してきたと考えられる。

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