ヨーロッパでは、末期ネアンデルタール人集団と侵入・移住してきた最も初期の解剖学的現生人類の集団との共存、さらには相互に影響し合った可能性に関する疑問は、近年の考古学や人類学の研究界で活発に議論の交わされる話題の1つとなっている。今回我々は、フランス中東部にあるシャテルペロン文化のフランス標式遺跡である「シャテルペロンの妖精の洞窟」(Grotte des Fées de Châtelperron)で、後期ネアンデルタール人と初期の解剖学的現生人類の遺物が混合層で連続していることが報告されている事例について、加速器質量分析法で放射性炭素年代測定を行った結果を報告する。この放射性炭素測定値から、フランスにおけるオーリニャク文化の存在を示す最古の確実な年代値が得られ、我々はこれが解剖学的現生人類の集団の存在を示すと考える。