Letter 化学:温和な条件下における炭化水素の選択的酸化のための調節可能な金触媒 2005年10月20日 Nature 437, 7062 doi: 10.1038/nature04190 酸化は、高容量商品、高価値精製化学製品、農薬、医薬品の製造において重要な化学中間体合成方法であるが、低効率であることが多い。空気中の酸素を用いる触媒系の導入は、「環境に優しい」プロセスにするためにはより望ましい。金触媒は現在、選択的酸化還元プロセスにおいて、特にアルコール酸化や過酸化水素直接合成用としての将来性が示されている。しかし解決されていない難問は、アルケンへの酸素の直接求電子付加によるエポキシドの合成である。エテンは大規模工業プロセスにおいて、分子状酸素と銀触媒を用いて効率よくエポキシ化される。しかし、これは特異的な例であって、高級アルケンは過酸化水素、ヒドロペルオキシドまたは化学量論的酸素ドナーを用いた場合のみ、効果的にエポキシ化される。今回我々は、ナノ結晶金触媒が、空気を用いたアルケン酸化のための調節可能な高活性触媒となり、しかも並外れて高い部分酸化生成物選択性(〜98%)と高い変換率を実現できることを示す。今回の成果は、分子状酸素の活性化に水素が使用された場合に金ナノ結晶がアルケンをエポキシ化できるという春田の発見を大きく進展させるものである。今回のケースでは、犠牲還元剤は不要である。この知見がきっかけとなって、金表面での酸素活性化のメカニズムをさらに深く解明する試みが始まると期待される。こうした試みは、金ナノ結晶の高酸化還元活性の商業利用につながるかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る