Letter ナノテクノロジー:確率共鳴による双安定ナノメカニカル振動子のコヒーレントなシグナル増幅 2005年10月13日 Nature 437, 7061 doi: 10.1038/nature04124 確率共鳴は直感では理解しにくい概念であり、元々雑音がある系にさらに雑音を加えると、その応答がコヒーレントに増幅されるようになる現象をいう。確率共鳴は、最初、氷河時代が周期的に繰り返して起こるメカニズムとして考えられたが、双安定リングレーザー、超伝導量子干渉素子(SQUID)、磁気弾性リボンなど広範囲の巨視的な物理系、そしてコオロギやザリガニの受容体などの神経生理系で観察されている。確率共鳴はコヒーレントなシグナル増幅のメカニズムとして基本的に重要であるが、ナノスケール系ではまだ観察されていない。本論文では、双安定なナノメカニカルシリコン振動子で確率共鳴を観測したことを報告する。このナノメカニカル系は両端をクランプした梁からできており、その横振動を高周波源によって励起する。高周波源を変調すると、梁の2つの異なる安定状態間のスイッチングを制御することができる。我々は白色雑音を加えるとシグナル強度が大きく増幅されることを確認した。ナノメカニカル系の確率共鳴は、制御可能な高速ナノメカニカルメモリセルを実現する機能を持っていると考えられ、さらに巨視的な量子コヒーレンスやトンネリングの探求に道を開くものである。 Full Text PDF 目次へ戻る