Letter 生化学:タンパク質の変性状態とフォールディング中間体の溶液構造 2005年10月13日 Nature 437, 7061 doi: 10.1038/nature04054 タンパク質のフォールディングに関しては、最初期の段階について最も議論が集中している。紛れもないフォールディング中間体が存在するのか、また最初期の段階でみられる現象は単なる変性状態の再配置なのか、それともそうした現象は蓄積した遷移状態から進行していくのか、こうした疑問はまだ解決されていない。問題は、反応性の高い状態では自発的に迅速に折り畳みが起こるために、折り畳まれやすい条件下における初期のフォールディング中間体および変性状態の高分解能の構造情報が実験的に得られていないことである。今回我々は、核磁気共鳴によって、通常なら折り畳みの起こりやすい条件下での真の変性状態の溶液構造を直接的に解明し、その平衡論的、反応速度論的な挙動を直接観察した。我々はイオン強度を変えるだけでフォールドおよびアンフォールドを可逆的に起こす、キイロショウジョウバエのEngrailedホメオドメイン変異体を設計した。高イオン強度下では、L16A変異体は野生型タンパク質と同様に超高速で折り畳まれるネイティブタンパク質であるが、生理学的なイオン強度下では変性を起こす。変性状態では、秩序立ったフォールディング中間体がヘリックスのドッキングとネイティブでない相互作用の切断によって、フォールディングの平衡を保っている。変性条件を強くするにつれて段階的なアンフォールディングを起こすので、条件によって性質が異なる変性状態と表面上類似している。明確に定義されていないこのようなアンフォールディングは、初期のフォールディング中間体に共通して見られる特徴である。タンパク質のフォールディングにおいて、中間体が存在するのか、コンパクトな変性状態が存在するのかについてこれほど多くの議論がなされているのはこのためである。 Full Text PDF 目次へ戻る