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生理:インスリンは脂肪細胞のプロテインキナーゼAに対するβ-アドレナリンシグナル伝達を遮断する

Nature 437, 7058 doi: 10.1038/nature04140

ホルモンは細胞内の二次メッセンジャーを動員して、プロテインキナーゼやホスファターゼがかかわるシグナル伝達カスケードを始動させる。プロテインキナーゼやホスファターゼは、シグナル伝達の特異性を高めるために、アンカータンパク質によって空間的に特定の区画に局在化させられていることが多い。このような足場タンパク質それ自体がホルモンによって調節されている可能性もある。脂肪細胞ではβ-アドレナリン受容体の刺激が環状AMP(cAMP)濃度を上昇させ、プロテインキナーゼA(PKA)を活性化し、このPKAがホルモン感受性リパーゼとペリリピンをリン酸化することによって、脂肪分解を促進する。インスリンを急性投与するとホスホジエステラーゼ3Bが活性化され、cAMP濃度が下がり、β-アドレナリン受容体シグナル伝達が停止する。これに対して慢性の高インスリン血症のもとでは(2型糖尿病の典型的症状)、β-アドレナリン受容体を介したcAMP生産が亢進する。このcAMPシグナル伝達の増強は、脂肪分解を促進することになるが、高インスリン血症の既知の短期的作用とは逆であり、矛盾している。今回我々は、脂肪細胞での慢性的な高インスリン濃度が、β-アドレナリン受容体によるPKAの活性化を阻害する(ただし、他のcAMP上昇刺激による活性化は阻害しない)ことを明らかにする。これは、改良した蛍光レポーターを用い、内在性のcAMP応答配列結合タンパク質(CREB)をリン酸化することにより測定された。PKAの足場を破壊すると、インスリンのβ-アドレナリン受容体シグナル伝達による干渉とよく似た現象が起こる。慢性的な高インスリン濃度はβ-アドレナリン受容体とPKAが密接に並んでいるのを離す働きをする可能性があり、これは異なるシグナル伝達経路間の新しいクロストーク機構と言える。

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