Letter

気候:2003年の猛暑および旱魃による全ヨーロッパ的な一次生産量減少

Nature 437, 7058 doi: 10.1038/nature03972

将来の気候温暖化では、温帯の生態系で植物の成長が促進されて炭素の吸収量が増大すると予想されている。しかし、変動する気候においては地域的な強い熱波が生じる頻度が増加する可能性があるにもかかわらず、陸上の炭素循環への影響は明らかになっていない。本論文では、2003年の欧州熱波時に測定した生態系の二酸化炭素フラックス測定値、リモートセンシングによる植物の放射エネルギー吸収量、および国レベル作物収量に関して報告する。我々は陸上生物圏シミュレーションモデルにより、2003年の一次生産量の大陸規模での増減と、その正味の炭素収支への影響を評価した。総一次生産量の減少は欧州全体で30%と推算される。この減少は、大気にとって極めて異例の正味の二酸化炭素源(0.5 Pg C yr-1)となり、生態系による4年間の炭素隔離を無効にするものである。本研究から、一次生産量減少の原因は、欧州東部では少雨、欧州西部では夏の猛暑であったと考えられる。また、生態系の呼吸量は総一次生産量とともに減少しており、気温上昇に伴う呼吸量増加は起こっていないことがわかった。モデルの結果は、過去の作物収量の記録が裏付けるとおり、欧州のこのような一次生産量減少が過去100年間に例をみないものであったことを示唆している。今後旱魃の発生が増加すれば、温帯の生態系が炭素源に転じ、すでに熱帯および高緯度地域で起こると思われている正の炭素−気候フィードバックを助長する可能性がある。

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