窒素富化は温帯陸上生態系からの植物種消失の原因だと広く考えられている。この見方は、種の豊富さが生産力の高さや窒素富化と負の相関関係にあることを示す野外調査や制御実験に基づいている。しかし、その種の窒素制限が大規模な地理的スケールで検証されたことはまだないため、これらの因果関係は確定していない。我々は、草本の陸上生態系における種の豊富さを調べ、大気由来窒素の沈着レベルの減少勾配(西ヨーロッパのおよそ50 kg ha-1 yr-1から自然背景値にあたるシベリアの5 kg ha-1 yr-1未満まで)に対応する温帯ユーラシアのトランセクトに沿って試料を採取した。本論文では、絶滅の危機にある植物種が、窒素の制限された条件下よりもリンの制限された条件下の方により多く存続していることを示し、窒素富化よりもリン増量の方が種数の減少を引き起こす原因である可能性が高いと結論する。今回の結果は、リン富化の仕組みをもっと解明することの必要性や、リンの利用可能性を低減する保全策にもっと重点を置くことの必要性を浮かび上がらせるものである。