Letter 進化:キクガシラコウモリに見られる配偶者への忠実さとリネージ内一夫多妻 2005年9月15日 Nature 437, 7057 doi: 10.1038/nature03965 社会性のある協同集団内の血縁関係を強めるような配偶戦略は、包括的に見れば適応の利益を個体にもたらす可能性があるが、同系交配を大きく進めてしまうこともありうる。今回我々は、雌雄が別集団で生活するコウモリの一種で、雌が2通りの配偶行動をとることにより、このジレンマを回避していることを報告する。その1つ目は、大部分の雌が特定の雄個体を何年かにわたって再訪して交配することで、そのため雌が年1匹産む子は年が違っても同父母の兄弟姉妹となる。2つ目は、母娘などの母系血縁個体が配偶相手を、偶然と思われる以上の頻度で共有すること(リネージ内一夫多妻)である。これらの行動によって、コロニー構成個体間で同じ祖先を持つ程度は増したが、付随して同系交配が増大することはなかった。そこで我々は、雌が配偶相手に忠実でリネージ内一夫多妻制をとる場合には、同じねぐらに生活する雌の仲間どうしの血縁関係は強くなり、それによって社会集団の結束力を潜在的に強めるのだと考える。今回の知見から、一夫多妻制の配偶様式の根底に存在する目に見えない複雑な仕組みが明らかになり、雌の配偶者選択が社会性の進化に影響を及ぼすような新しい潜在ルートの存在が浮かび上がる。 Full Text PDF 目次へ戻る