Letter 化学:クルックスの揺動定理の検証とRNA折りたたみ自由エネルギーの導出 2005年9月8日 Nature 437, 7056 doi: 10.1038/nature04061 原子間力顕微鏡と光ピンセットは、アンフォールディング(折りたたみのほどけ)や解離などの転移を引き起こす機械力を与えることによって、個々の分子や分子間相互作用の機械的性質を探るのに広く使われる。これらの転移はしばしば非平衡条件下で起こり、ヒステリシス効果を伴う。こうした特徴は、通常、実験データから平衡状態の情報を引き出すのを妨げると見なされる。しかし、揺動定理を用いれば、非平衡軌道に沿った仕事を熱力学的自由エネルギーの差に関係づけられる。揺動定理は単一分子の力測定に適用可能であることが示されており、また、RNAヘアピンの折りたたみ自由エネルギーについての情報も揺動定理からすでに得られている。今回我々は、クルックスの揺動定理を用いて、強い非平衡領域だけでなく弱い非平衡領域でも起こる折りたたみとほどけについて、折りたたみ自由エネルギーを決定できることを示す。これは、それぞれの条件下での定理の妥当性のテストとなる。我々は光ピンセットを用いて、小さいRNAヘアピンとRNA三重らせん接合部のほどけと再折りたたみに伴う機械的仕事を繰り返し測定した。得られた仕事の分布を定理に従って解析し、RNA分子と1塩基対だけが異なる変異体との間の折りたたみ自由エネルギーの差と、RNAの構造に対するマグネシウムイオンの熱力学的な安定化効果を決定できた。 Full Text PDF 目次へ戻る