Letter 進化:初めての化石チンパンジー類 2005年9月1日 Nature 437, 7055 doi: 10.1038/nature04008 人類(ヒト属)の化石は多数見つかっているが、チンパンジー類の化石はこれまでいっさい報告されていなかった。チンパンジー(Pan)属はヒトに最も近縁な現生動物である。チンパンジー個体群は現在、西アフリカと中央アフリカの森林域にしか生息していないが、人類化石の産地のほとんどは半乾燥地帯の東アフリカ大地溝帯にある。こうした事情から、500万〜800万年前にヒト系統とチンパンジー系統が分岐した原因をめぐってさまざまな推測がなされた。一部の専門家は、気候変化によって東アフリカで森林域からサバンナへ植生が移行したことから、チンパンジーとヒトの祖先個体群間が隔離されたと考え、人類特有の歩行適応である二足歩行の起源を説明している。大地溝帯そのものがチンパンジーの生息を阻む障壁として働いたとする仮説も考えられている。今回我々は、初めて見つかった化石チンパンジー類について報告する。これらの化石はケニアのKapthurin累層で産したもので、チンパンジー属の仲間が更新世中期の東アフリカ大地溝帯にいたこと、そしてこの仲間がヒト(Homo)属の絶滅種と同じ時代にここで暮らしていたことを示している。この時代のこの場所には、人類にもチンパンジー類にも適した生息域が確かに存在していたのであり、大地溝帯はチンパンジーの生息を阻む障壁にはならなかったことになる。 Full Text PDF 目次へ戻る