Letter

生化学:メリチン4量体の崩壊におけるディウェッティング転移の観察

Nature 437, 7055 doi: 10.1038/nature03926

メリチンタンパク質4量体が水中で自己集合するときには水和の顕著な変化が起こる。単純で十分に大きい(1nm2以上の)強疎水性表面が近づくとき、その両者の間のすきまでは疎水性によりディウェッティング(drying)転移が引き起こされ、それぞれの表面に隣接する水がなくなるとともに系が崩壊する。今回、多領域タンパク質の疎水性誘起崩壊あるいはタンパク質オリゴマーの形成がこれと同じようなディウェッティング転移を示すかどうかを調べた。水中でのメリチン4量体の崩壊について調べるためにコンピューターシミュレーションを行い、4量体内のナノスケールのチャネル(直径はせいぜい水分子2〜3個分)内部で顕著なディウェッティング転移が起こることを観察した。この転移は微視的な長さスケールで起こるが、液体から気体への1次相転移に似ている。3個のイソロイシンをそれぞれ疎水性のより低い残基に変異させるとディウェッティング挙動は敏感に変化し、適切な位置に変異を導入するとチャネルを水のない状態(dry)から水で満たされた状態(wet)に切り替えられることがわかった。したがって、疎水性表面形状のごくわずかな変化がディウェッティング転移に多大な影響を及ぼす。また、極性タンパク質骨格の存在下であってもタンパク質表面が十分に疎水性であれば、液-気転移が引き起こされ、さらなる崩壊に向かう巨大な推進力が与えられることも示す。多領域タンパク質である2,3-ジヒドロキシビフェニルジオキシゲナーゼ(BphC)の崩壊ではディウェッティングが見られないため、このような挙動は予想されていなかった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度