Letter 物理:電荷フラストレート系LuFe2O4の鉄原子価秩序化による強誘電性 2005年8月25日 Nature 436, 7054 doi: 10.1038/nature04039 強誘電体は記憶素子、フィルタデバイス、高性能の絶縁体など最新の電気デバイスに幅広く使われている。強誘電体結晶では、陰イオンと陽イオンの変位が電気双極子(極性とも呼ばれる)を形成し、その結晶全体にわたる秩序配列が自発電気分極となり強誘電性が現れる。強誘電体に対する第一原理計算や電子密度解析では、この双極子の形成には、陰イオンと陽イオンの共有結合、あるいはこの両イオン上の電子の軌道混成が重要な役割をもつことが示されている。一方別のモデルとして、電気双極子がイオンの共有結合ではなく、電子相関から現れる電子強誘電性が提案されている。電子強誘電性には、強誘電体の特性を電荷、スピン、軌道といった電子がもつ自由度によって制御するという魅力的な可能性がある。本論文では、三角格子の混合原子価酸化物であるLuFe2O4の強誘電性が、鉄イオンの電子相関から生じることを示す実験的証拠を報告する。共鳴X線散乱の測定結果から、Fe2+イオンとFe3+イオンの秩序化が証明された。これらのイオンは超格子構造をとり、そこに現れた極性な対称をもつ電子分布は電気双極子を形成する。この鉄イオンの極性な超格子秩序(電荷秩序)は、三角格子上の電荷のフラストレーションという電子間の斥力的な性質、電子相関により生じている。 Full Text PDF 目次へ戻る