Letter 化学:光誘起電子移動に駆動された触媒エナンチオ選択反応 2005年8月25日 Nature 436, 7054 doi: 10.1038/nature03955 光誘起電子移動は、光化学系Iと光化学系IIにおける太陽エネルギーの化学エネルギーへの変換の基本ステップであり、簡単な前駆体から複雑な分子を構築する化学反応にもよく使われる。この変換過程では、電子を受容あるいは供与し易くなる励起電子状態の分子が光吸収によって生成される。しかし励起状態は、生成は容易であるものの寿命が短いため、電子移動とそれに続く生成物形成を制御するのは、特に光学的に純粋な生成物の形成が目的のときにはむずかしい。今まで開発された制御方法は水素結合を利用している。光化学反応の基質をキラル環境中へ埋め込み、剛性なキラル錯化剤を使って、光化学反応をエナンチオ選択的にする。このような化学量論的なキラル情報伝送を超えるには、触媒ターンオーバーが必要になる。本論文では、かなり大きいターンオーバーと高いエナンチオ選択率で進行する触媒の光誘起電子移動反応を示す。水素結合を形成して基質上のキラル環境を強化する電子受容性のキラル有機触媒を使って、最高70%というかなり高いエナンチオマー過剰率と64%に達する収率で生成物を得た。この高い性能から、キラル化合物に至る光化学経路は一般的な不斉合成での利用が期待される。 Full Text PDF 目次へ戻る