Letter 化学:塩基スタッキングはA-T DNAにおける励起状態ダイナミクスを制御する 2005年8月25日 Nature 436, 7054 doi: 10.1038/nature03933 太陽紫外線はDNA中に励起電子状態を作り出し、この状態は減衰すると変異原性をもつ光化学反応産物を生じることがある。この脆弱性は、あらゆる生物で光損傷DNAの酵素による修復によって補正される。修復にはエネルギーを多く必要とするため、DNAには光に対する安定性が本来備わっている。単一塩基ではサブピコ秒のタイムスケールで非放射的に電子エネルギーが除去されるが、二重らせん中の過剰な電子エネルギーは塩基スタッキングおよび塩基対形成によって減衰されるが、その仕組みは十分解明されていない。以前は、励起された塩基対がかなりの注目を集めた。最近の報告では、単離した塩基対のもつ1つの水素結合中の1個のプロトンの光誘起運動が、非放射的減衰を引き起こして電子基底状態へ向かうことが示されている。今回我々は、塩基対ではなく垂直塩基スタッキングがアデニン(A)とチミン(T)塩基からなる一本鎖および二本鎖オリゴヌクレオチドにおける励起一重項電子状態の運命を左右することを示す。AがAあるいはTと重なった場合には寿命50〜150 psの鎖内エキシマー状態が高い収率で形成される。エキシマーは励起エネルギーを一度にB型二重らせんの1本の鎖にとどめるため、非損傷鎖をテンプレートとして用いる修復が可能になる。 Full Text PDF 目次へ戻る