Letter 生化学:シクロプロピル環をもつアミノ酸の生合成中に起こる非ヘム鉄酵素による隠れた塩素化 2005年8月25日 Nature 436, 7054 doi: 10.1038/nature03797 4,000種類を超える天然化合物の生合成の過程で、酵素による塩素、臭素、ヨウ素原子の取り込みが起こっている。ハロゲン化はこれらの化合物の生物活性に大きな影響を及ぼすことがあるので、これらの反応を行う生物触媒の解明に大きな関心が寄せられている。活性化されていない脂肪族基をハロゲン化する酵素はこれまで性質が明らかにされていなかった。今回我々は、5種類のタンパク質(CmaA、CmaB、CmaC、CmaD、CmaE)が、植物病原菌であるPseudomonas syringaeが合成する植物毒素コロナチンの成分であるコロナミン酸(coronamic acid)(CMA;1-アミノ-1-カルボキシ-2-エチルシクロプロパン)の構築において果たす役割について報告する。CMAは、CmaDに共有結合したL-allo-イソロイシンから、非リボソーム性ペプチド合成酵素CmaAとめずらしいアシル基転移酵素であるCmaEの働きで生じる。非ヘムFe2+、α-ケトグルタル酸依存性酵素スーパーファミリーに属する酵素であるCmaBは、この仲間の中でハロゲン化酵素活性を示す初めての例で、L-allo-イソロイシンのγ位を塩素化することがわかった。これまで報告されていなかったもう1つの酵素CmaCは、CmaBの反応産物であるγ-Cl- L-allo-イソロイシンからのシクロプロピル環の形成を触媒する。CmaBとCmaCの反応が組み合わさってγ位のハロゲン化とそれに続く分子内でのγ-脱離が起こる。この経路では、生物的塩素化がシクロプロピル環を形成する隠れた方法となっている。 Full Text PDF 目次へ戻る