Letter

進化:柔組織が保存されたシルル紀の腕足類

Nature 436, 7053 doi: 10.1038/nature03846

腕足動物のうち「2つの殻が蝶番で連結された」嘴殻類(Rhynchonelliformea;旧称、有関節類)は、殻の化石が多数見つかっているが、柔らかい部分の直接の化石記録はこれまで、おそらく触手冠と思われる黄鉄鉱化作用を受けた痕跡が唯一のものであった。絶滅した嘴殻類の解剖学的知識は現生種からの類推に頼るところが大きいが、こうした類推は原始的な化石分類群クレードについては実地に立証されていない。ヘレフォードシャー(英)のシルル紀化石産地(およそ4億2,500万年前)では、例外的に保存状態の良い立体的な化石が産出し、太古のさまざまな無脊椎動物に関するこのうえなく貴重な知見を与えてくれる。これらの化石は火山砕屑物からなる層準内の炭酸塩団塊に方解石化した空隙充填物として保存されており、デジタル技術により再現できる。今回我々は、この堆積物から見つかったstem-groupの化石分類群の嘴殻類標本について報告する。この生物はオルチス目(Orthida)に属する可能性が非常に高い。遠位支根を備えた頑丈でうね状の柄部が1本保存されており、それとともに1個の触手冠と他の軟組織構造も見られる。柄部の形態は今まで見たことのないもので、嘴殻類の現生分類群の種から原始的な化石分類群の解剖学的形態を推測することの危うさを物語っている。この化石にはもっと小型の腕足類が複数付着しており、その中には柄部や辺縁部剛毛の保存されたアトリパ類と思われる生物も含まれる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度