Letter 医学:扁桃体損傷後に恐怖表情の読み取り障害が起こる機構 2005年1月6日 Nature 433, 7021 doi: 10.1038/nature03086 我々は10年前に、両側の扁桃体に損傷を持つある稀な患者SMが、顔の表情から恐怖を読み取る能力に注目すべき障害を示すことを報告した。それ以来、多数の損傷実験や機能的画像法により、情動の顔への表出に関する情報処理過程での扁桃体の重要性が裏付けられてきた。しかし、扁桃体の損傷がどのような機構で恐怖の認識を妨げるのかはわかっていない。今回、患者SMについて再度検討したところ、この患者にみられる異常は、感情を判定する際、顔のなかで目周辺部の情報を正常に利用できないこと、つまり自由な顔観察の際に目に自発的な注視を向けることができないという欠陥に起因することがわかった。SMは通常どのような顔面の表情においても目周辺部に注視を向けないのに、なぜ恐怖の認識だけが選択的に欠落するのかは、恐怖の認識に関しては目がもっとも重要な特徴を示すためと説明される。目を見るようにと明確な指示を受けると、SMの恐怖表情読み取り能力は全く正常になったことは注目に値する。この知見によって、恐怖認識における扁桃体の役割を説明するメカニズムが提供され、表情読み取りに欠陥をもつ患者のリハビリテーション法となりうる新たなアプローチが示唆された。 Full Text PDF 目次へ戻る