Letter 気候:層状雲上空の湿度がエアロゾルの間接的な気候強制力に及ぼす影響 2004年12月23日 Nature 432, 7020 doi: 10.1038/nature03174 人為起源の温室効果ガスによる地球温暖化の幾分かは、雲の凝結核として働くエアロゾル粒子で汚染された空気中で形成される、より小さな雲粒を含んだ雲による太陽放射の反射が増えることで相殺される。結果として現れる大気の冷却傾向はエアロゾルの間接強制力と呼ばれ、その強さは人為起源の二酸化炭素による強制力と同程度であると考えられている。しかし、エアロゾルと雲の全球的な分布を決定する物理過程はほとんどわかっていないために、その強さを見積もることは難しい。より小さな雲粒には太陽光をより効果的に反射するのみならず降水を抑制する作用もあるので、雲水の増大が予想される。このようにして起こる雲水の増大は反射率の大きな雲をさらに増加させ、間接強制力を高めることになるだろう。しかし、エアロゾル粒子に汚染された海洋上の境界層の雲を観測すると、一般的により多くの水分を保持しているとはいえない。今回我々は、雲の微物理や放射伝達過程を詳細に組みこんだ流体力学モデルを用いて層積雲のシミュレーションを行った。その結果、粒子の濃度上昇がもたらす降水の抑制に対する雲水の応答は、地上降水の減少に起因する湿潤化と、上空大気のエントレインメントの増大に起因する乾燥化との兼ね合いで決まることがわかった。上空大気が湿潤であるか、または粒子の濃度が非常に小さな場合にのみ、十分な量の降水が地表に到達し、粒子の濃度が上昇するにつれて雲水の増大が可能となる。それ以外の場合、エアロゾルが引き起こす降水の抑制に対する雲水の応答は、上空の乾燥大気のエントレインメントに強化される作用が支配的となる。このシナリオでは粒子の濃度が上昇するにつれて雲水は減少し、間接的な気候強制力は減少することになる。 Full Text PDF 目次へ戻る