Article 遺伝:hAT因子の転位は転位因子とV(D)J組換えを結びつける 2004年12月23日 Nature 432, 7020 doi: 10.1038/nature03157 トランスポゾンは、ゲノム上の新しい位置へ自身を移動させる機能をコードするDNA配列である。こうした機能が調節されていないと、余分なDNA断片が遺伝子の中へ挿入されてしまう可能性があり、そうなると遺伝子発現が損なわれ、生物体の生存が脅かされる。転位因子は、その転位機構や、移動に関与するトランスポザーゼによって分類される。真核生物のhATスーパーファミリーの因子の移動機構はこれまで不明であったが、hATトランスポザーゼの配列が他の因子のものとは異なることから、これらの因子は異なる機構を用いている可能性があると考えられていた。今回我々は、昆虫のhAT因子Hermesの転位をin vitroで解析した。Hermesは他のトランスポゾンと同様に、ドナー部位のDNAとトランスポゾン終末との間の二本鎖切断を介してDNAから切り出され、新たに現れたトランスポゾン終末が標的DNAと連結する。興味深いことに、ドナーの二本鎖切断で生じる末端はV(D)J組換え時にみられるように、ヘアピン中間体を形成する。V(D)J組換えは、抗原受容体遺伝子が連結されるときの基礎となる過程である。Hermesトランスポザーゼ、V(D)JリコンビナーゼRAG、レトロウイルスインテグラーゼスーパーファミリーのトランスポザーゼの触媒作用をもつアミノ酸残基は極めて似ていることから、転位因子の移動とV(D)J組換えの関連が示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る