Letter 発生:網膜芽細胞腫は胎児肝臓マクロファージのId2を抑制することによって無核赤血球造血を促進する 2004年12月23日 Nature 432, 7020 doi: 10.1038/nature03068 哺乳類では、成熟した無核赤血球細胞の生産、つまり無核赤血球造血が最初に起こるのは胎児の肝臓である。この無核赤血球造血のための機能単位は多数の細胞からなる赤芽球島という構造で、中央にある1個のマクロファージの周りをさまざまな分化段階の赤芽球が取りまいている。マウスで癌抑制遺伝子である網膜芽細胞腫(Rb)遺伝子を破壊すると、赤芽球の脱核が起こらずに胚が死んでしまう。このような赤芽球系の異常は、造血を助ける細胞にRbがないことが原因とされるが、それがどの細胞かはわかっていなかった。本論文では、Rbを欠く胚では胎児肝臓のマクロファージに重大な異常があり、そのためマクロファージと赤芽球が物理的に結合できなくなることを明らかにする。これに対して野生型マクロファージは、Rbを欠く赤芽球と結合してこれらの最終分化と脱核を引き起こす。Rb欠失胚の死を引き起こすのはヘリックス・ループ・ヘリックスタンパク質Id2で、これを欠失させるとRbを欠く胎児の肝臓マクロファージの欠陥が修復される。Id2はマクロファージの分化を主役となって調節する転写因子PU.1に阻害的に働くが、RbはId2のこの作用を妨げることによってマクロファージの分化を促進する。つまりRbは胎児肝臓のマクロファージにおいて細胞自律的な機能をもち、無核赤血球形成を起こすためにこれらの細胞でId2の働きを制限している。 Full Text PDF 目次へ戻る