Letter

気候:白亜紀後期の北極海の高温

Nature 432, 7019 doi: 10.1038/nature03143

白亜紀後期の温暖で寒暖の差の小さい温室世界の気候力学を解明するためには、極域の古温度を決定することが重要である。しかし、北極海について初期の古海洋学的な歴史はほとんど分かっていない。なぜならば、海底とその下にある堆積物は浮氷に覆われていて普通は入手できないからである。ある漂流氷島から1970年に採取された浅いピストンコアには、おそらく海洋起源の海底の隆起した地形であるアルファ隆起線からの、白亜紀後期の有機物に富んだ、固まっていない堆積物が幸運にも回収されていた。このコアから得られた堆積物には炭酸塩が不足しているため、従来使われている酸素同位体古温度測定法は使用できない。今回我々は、至る所に存在する海洋プランクトンCrenarchaeotaから得られる細胞膜の脂質の組成に基づく古温度の新しい指標TEX86を用いて、北極の古温度をこれらの白亜紀後期の堆積物から決定した。これらの分析から、約7,000万年前の北極海の平均海面温度は約15℃であったと推測される。この値を較正に用いると、この期間の赤道と極の間の海面温度勾配は約15℃であったことになり、また、外挿によって、極域の海水が白亜紀中期(約9,000万年前)には概して20℃よりも高温だったと考えられる。

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