Letter 生化学:A型ボツリヌス神経毒素の基質認識戦略 2004年12月16日 Nature 432, 7019 doi: 10.1038/nature03123 クロストリジウム神経毒素(CNT)は、神経麻痺疾患であるボツリヌス中毒症や破傷風の病原因子である。CNTは、SNAREと呼ばれる必須のタンパク質を特異的に加水分解することによって、ニューロンのエキソサイトーシスを阻害する。SNAREは低エネルギー三重複合体を形成することで膜融合を触媒し、神経伝達物質の放出を促進すると考えられている。この過程はSNAREの加水分解によって減弱する。部位特異的なSNARE加水分解は、亜鉛依存性エンドペプチダーゼのユニークなグループであるCNT軽鎖によって触媒される。CNTがターゲットとなるSNAREを適切に認識・切断する方法については、さまざまな推測がなされており、CNTは活性部位から離れたところにある1つ以上の酵素−基質相互作用の領域(エキソサイト)を利用していると考えられている。本研究では初めて、ターゲットであるSNAREと複合体を形成したCNTエンドペプチダーゼ、すなわちヒトSNAP-25に結合したA型ボツリヌス神経毒素(BoNT/A)プロテアーゼの構造を分解能2.1Åで報告する。この構造と、酵素の速度論的データと合わせて、基質特異性を決定する一連のエキソサイトが明らかになった。基質の配向は一般的な亜鉛依存性メタロプロテアーゼであるサーモライシンに類似している。基質の結合によって毒素の触媒ポケット近くに顕著な構造変化が見られ、これがおそらくプロテアーゼに触媒能を与えていると考えられる。基質認識エキソサイトの新しい構造は、BoNT/Aに特異的な阻害剤のデザインに利用されうる。 Full Text PDF 目次へ戻る