Letter 動物行動:アリの採餌路ネットワークには軌跡の幾何構造による極性がある 2004年12月16日 Nature 432, 7019 doi: 10.1038/nature03105 多くのアリは巣と餌の間を行き来する採餌行動をする個体の道標としてフェロモン軌跡を使っている。しかし、軌跡からはずれた採餌個体はどうやって、どちらの向きで軌跡に合流すべきかを知るのだろうか。たとえば餌を運ぶ採餌個体は巣に向かうべきである。軌跡に極性があればアリは適切な方向を選ぶことができ、その結果、時間を無駄にせずにすみ、捕食される危険も減らせる。しかし、これまでの研究からは、アリがフェロモンの軌跡のみから極性を感知できることを示す証拠は見つからなかった。イエヒメアリ(Monomorium pharaonis)は採餌環境全体を通じて精緻な軌跡ネットワークを作り上げる。今回我々は、軌跡に合流する採餌個体が最初は間違った方向に歩いても、この軌跡ネットワーク内の分岐の幾何構造から得られた情報を使うことで、自身の歩く向きを適宜修正できることを示す。向きを正しく修正する頻度が最大になるのは、軌跡の道筋が分岐する角度が60度近くのときで、これは自然界の軌跡ネットワークに見られる角度と同じである。これらの知見は、アリの軌跡自体から極性情報が得られることを示す初めてのデータであり、また、昆虫社会が作るネットワークには従来予想されていなかったような高度な組織化や内包情報があることを物語っている。 Full Text PDF 目次へ戻る