Letter 細胞:癌原遺伝子BCL6は胚中心のB細胞におけるp53の発現を抑制する 2004年12月2日 Nature 432, 7017 doi: 10.1038/nature03147 ヒトの癌原遺伝子BCL6は、胚中心の形成に必要であり、かつB細胞リンパ腫の発病にかかわるとされているBTB/POZジンクフィンガー転写リプレッサーをコードしている。BCL6の直接の標的遺伝子がほとんど同定されていないため、胚中心の形成とリンパ腫発生におけるBCL6の明確な機能は解明されていない。今回我々は、BCL6が胚中心のB細胞において、癌抑制遺伝子p53(TP53とも呼ばれる)の発現を抑制し、またDNA損傷が引き起こすアポトーシス応答を調節することを報告する。BCL6は、p53のプロモーター領域中にある2か所の特異的結合部位(DNA)に結合することによりp53の転写を抑制する。その結果、BCL6の発現が盛んな胚中心のB細胞では、p53が発現されなくなる。特異的な短鎖干渉RNAによってBCL6の発現を抑制すると、基本条件下においてもDNA損傷応答においても、p53メッセンジャーRNAおよびp53タンパク質の増加が引き起こされる。特に注目すべきことに、BCL6を構成的に発現させると、B細胞株はDNA損傷によるアポトーシスを起こさなくなる。これらの結果は、BCL6の重要な機能は、胚中心のB細胞が、免疫グロブリンのクラススイッチ組換えや体細胞高頻度変異に必要な生理的DNA切断に耐えて、p53依存性のアポトーシス応答を起こさずにすむようにすることであると示唆している。またこれらの結果は、BCL6の無秩序な発現が、1つにはp53の機能的不活性化によって、リンパ腫の発生に寄与することも示している。 Full Text PDF 目次へ戻る