Letter 進化:トカゲ類の身体能力とダーウィン適応度 2004年11月25日 Nature 432, 7016 doi: 10.1038/nature03057 身体能力の個体差に遺伝的な要因があることを示す強力な証拠が集まってきている。進化生理学の基本理念の1つ、つまり身体能力とダーウィン適応度は密接に結びついていることを踏まえれば、自然選択によって生理的能力の優れた表現型が助長されると予想していいだろう。ではなぜ身体能力は、ヒトや他の動物の集団内で有意の変動性が保たれたままなのだろうか。我々がコモチカナヘビ(Lacerta vivipara)の移動能力を解析したところ、最初の持久時間(誕生時に計測した疲労困ぱいするまでの走行時間)は実際に高度の遺伝性を示したが、この形質に有利に働くような自然選択は意外に弱い可能性がある。食餌条件を操作すると、このパターンを説明づける直接的な仕組みが明らかになる。食餌を十分に与えた個体の中では、誕生後わずか1か月以内で能力がはっきり逆転する。つまり、持久力の低い幼若個体は高い個体に追いつき、持久力の高い個体は優位性を失うのである。これに対して食餌制限をすると、生まれたてのときに持久力の高い個体は年を取っても移動能力の優位性を保つ。したがって高い身体能力の遺伝的素因の発現は、一生の初期にどんな環境に置かれたかに大きく左右される。 Full Text PDF 目次へ戻る