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生態:両生類に見られる交尾後の卵塊窃盗行為

Nature 431, 7006 doi: 10.1038/nature02879

雌が交尾を複数回行ったり代替的な配偶システムをとることは、性選択の機会を低減する可能性がある。精子競争は、雌が複数の雄と交尾する結果起こることが多く、さまざまな動物で観察されている。また、代替的な繁殖システムは体外受精をする種や親が保育をする種に広く見られる。放卵・放精を同時にする両生類や、配偶子を水中に放出する魚類では、交尾行為や保育に関連する複雑な行動がないのに一腹の子の父親が複数になる場合も見られる。今回我々は、ヨーロッパアカガエル(Rana temporaria)の低山地個体群で、体外受精をする脊椎動物では従来知られていなかった繁殖行動である「卵塊窃盗行為」(clutch piracy)を報告する。このカエルの雄は雌に抱きつき、雌雄の対は球状の卵塊を1つ産み落とす。親は子の世話をいっさいしない。「窃盗行為者」(pirate)となる雄は産みたての卵塊を探し、雌に対してするように卵塊に抱きついて、本来父親であるはずの雄が受精させそこねた卵を受精させる。この行動は雄のサイズに依存してはいないらしく、また、一部の雄は同一シーズン内で雌と交尾し、なおかつ卵塊窃盗行為も行う。卵塊の84%が窃盗行為を受け、場合によっては窃盗行為が受精卵の比率を高めたことから、窃盗行為をする雄と雌との双方が直接、適応度の面で利得を得ることになる。この個体群では、体サイズによる調和配偶からわかるように性選択が起こっている(おそらく雄に大きく偏った性比が原因だろう)が、その影響を卵塊窃盗行為が弱めているのかもしれない。このことから、代替的な配偶戦略がどのようにして性選択の強さに影響を及ぼしうるかを探るうえでこの種は優れたモデルとなる。

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