Letter 細胞:酸化的損傷を受けた高忠実度DNAポリメラーゼによるDNAの誤りの多い複製 2004年9月9日 Nature 431, 7005 doi: 10.1038/nature02908 好気的呼吸で発生する活性酸素種はグアニン残基を傷つけ、ゲノムにおける主要な変異原性酸化的損傷部位である8-オキソグアニン(8oxoG)の産生を招く場合がある。酸化的損傷は老化や癌との関連が指摘されており、その発生頻度が高くなると、ゲノム情報の正確な伝達を担うDNAポリメラーゼの働きが損なわれる危険が常に存在することになる。DNAポリメラーゼが8oxoGに遭遇すると、本来であればシトシンを挿入するところを、誤ってアデニンの挿入を触媒することがしばしば起こる。その結果、GからTへの転換の頻度が上昇する。これは、ヒトの癌に関連した体細胞変異でよくみられる。本論文では、8oxoGの正確な複製および変異を生じる複製における、高忠実度DNAポリメラーゼの構造の連続的な状態について報告する。これらの結晶構造の比較から、通常DNAの校正を行うミスマッチ認識機構を8oxoGが逆転させることで、8oxoG・アデニンのミスマッチが本来の塩基対に似た挙動を示す一方で、8oxoG・シトシン塩基対がミスマッチとしてふるまうことがわかった。これらの結果から、誤りの多い複製の基本的な機構が明らかとなり、8oxoG、ひいてはDNA損傷全般が、ポリメラーゼによるミスマッチ検出機構を逃れて、致死性変異の安定な導入につながりかねないミスマッチを形成する仕組みが示された。 Full Text PDF 目次へ戻る