Letter 細胞:ヒト細胞での低分子干渉RNAによるDNAメチル化の誘導と遺伝子サイレンシング 2004年9月9日 Nature 431, 7005 doi: 10.1038/nature02889 いくつかの動植物では、二本鎖RNA(dsRNA)が転写後の遺伝子サイレンシングを引き起こす。植物では、プロモーター中のCpG島を標的とするdsRNAは、RNAを介したDNAメチル化も引き起こすが、哺乳類細胞においてもdsRNAによってDNAメチル化を介した遺伝子サイレンシングが起こるかどうかは、はっきりわかっていない。今回我々は、低分子干渉RNA(siRNA;21-25ヌクレオチド長のRNA分子)がヒト細胞でDNAのメチル化とヒストンH3のメチル化を引き起こすことを明らかにした。E-カドヘリンプロモーター中のCpG島を標的にした合成siRNAは、MCF-7細胞でも正常な乳房上皮細胞でも、明らかにDNAメチル化とヒストンH3のリシン9のメチル化を引き起こす。その結果、これらのsiRNAはE-カドヘリン遺伝子の発現を転写レベルで抑制した。さらに、2種類のDNAメチル基転移酵素(DNMT1とDNMT3B)のどちらか一方について、特異的なsiRNAを使って発現しないようにすると、siRNAを介したDNAのメチル化が阻害された。また、erbB2(HER2とも呼ばれる)のプロモーターを標的とするベクター利用型siRNAは、MCF-7細胞でDNAメチル化を誘導した。すなわちヒト細胞でも、ある特定の遺伝子のプロモーター中にあるCpG島を標的にしたsiRNAを使うと、DNAメチル基転移酵素に依存したメチル化を介して、転写遺伝子のサイレンシングが引き起こせる。このようなsiRNAは、新しいタイプの遺伝子治療薬になる可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る