Letter 生態:内モンゴル草原における生態系の安定性と補償作用 2004年9月9日 Nature 431, 7005 doi: 10.1038/nature02850 生物多様性が、補償作用(揺らぎのある環境で、ある生物種が減少するのに応じて別の種の数度が増すこと)によって生態系生産力の変動性を低減させることは、数多くの研究から示唆されている。しかし、この考え方についてはいくつかの点で異論も唱えられてきた。これまでの研究の大部分は継続期間も短く人工的に作られた草原で行われてきたため、長期にわたる自然生態系の研究が現在求められている。今回我々は、24年にわたる内モンゴル草原の調査をもとに、3つの重要な知見を提出する。第1に、1〜7月の降水量は、群落バイオマス生産量に揺らぎを起こす主要な気候要因である。第2に、生態系の安定性(群落バイオマス生産量の変動しやすさと負に相関する)は、組織化レベルの階層が(種から機能的グループへ、さらに群落全体へと)上がるに従って累進的に増していく。第3に、群落レベルの安定性は、種と機能的グループの両レベルで起こる主要な構成生物同士の補償的相互作用に起因するとみられる。我々の得た結果は、階層という観点から、補償作用を示すこれまでのいくつかの知見を補強するものである。撹乱を受けていない成熟したステップ生態系は、高度の生物多様性、生産性、生態系安定性を同時に備えて最高の状態に達するとみられる。これらの要因は相互関係にあるので、さらなる研究によりこれらの間の因果関係を実証することが必要である。我々の研究成果は、急速に劣化しつつある内モンゴル草原をもっとうまく維持管理し回復するための新たな足がかりとなる。 Full Text PDF 目次へ戻る