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進化:キューバ産トカゲによる生物侵入に際しては遺伝的多様性が増す

Nature 431, 7005 doi: 10.1038/nature02807

侵入生物学には遺伝学上のパラドックスが存在する。つまり、移入された個体群ではおそらく集団のボトルネック効果によって遺伝的多様性が減少しているのに、どうやって存続し新しい生息条件に適応していくのだろうか。保全遺伝学で得られた教訓から、遺伝的浮動や創始者効果による遺伝的多様性の減少が個体群の適応能を制限することや、個体群サイズが小さくなると絶滅のリスクが高まることがわかっている。にもかかわらず多くの移入種は、最初の移入期間中にこれらの同一条件を経験しても生息域を広げ、急速に進化をとげて侵入生物となる。この問題に取り組むため我々は、世界各地に侵入してきたトカゲ、ブラウンアノール(Anolis sagrei )について調べた。遺伝解析から、このトカゲの土着する生息地域の各域からフロリダへの移入が少なくとも8回起こり、地理的起源の異なる個体群に由来する遺伝的変動が混じり合って、土着生息域にすむ個体群よりも十分に高い遺伝的多様性を備えた個体群ができ上がったことがわかった。さらに、近年になって世界各地に移入されたブラウンアノール個体群はフロリダからやって来たものであり、一部の個体群はこうした高い遺伝的多様性を保持している。本論文では、侵入が成功するための鍵の1つが複数回の移入にあり、これによって土着域では個体群間レベルの多様性だったのが移入先では個体群内の多様性へと変換する可能性があることを示す。さらに、こうした遺伝的に多様な個体群は他の地域への移入にあたって特に強力な供給源となる可能性がある。侵入生物種の移入問題は大きくなりつつあり、その損失は経済的にも生物学的にも無視できない。こうした損失を軽減しようとするなら、生物侵入の原因や経過、結末をもっと理解する必要がある。

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