Letter 微生物学:アグロバクテリウムによる植物の遺伝的形質転換におけるタンパク質標的分解の関与 2004年9月2日 Nature 431, 7004 doi: 10.1038/nature02857 アグロバクテリウムによる植物細胞の遺伝的形質転換は、界の異なる生物へのDNA導入という特異な例である。この過程でアグロバクテリウムは、Tiプラスミド由来の(T)DNAおよび複数の毒性(Vir)タンパク質を宿主細胞へ送り込む。宿主細胞でのT-DNAの核への取り込みは、VirD2およびVirE2と、これらと相互作用する宿主細胞側の因子AtKAP-α5およびVIP1によって仲介されるが、T-DNAの植物ゲノムへの組込みは主に、宿主細胞のタンパク質群によって行われる。宿主ゲノムへの組込みに先立って行われる、T-DNAに結合した細菌由来のタンパク質の解離にかかわる因子はまだ不明である。本論文では、細菌から運び出されるVirタンパク質で数少ない既知のものの1つだが宿主細胞内での機能が不明のVirFが、VIP1およびVirE2を標的としたタンパク質分解に関与することを報告する。VirFは植物細胞の核に局在し、核タンパク質VIP1と相互作用することがわかった。F-boxモチーフを含むVirFは、酵母細胞内でVIP1とVirE2の両方を著しく不安定化する。また、VirFの存在下でVIP1が不安定化することは植物体でも確認された。これらの結果は、VIP1と同種のタンパク質VirE2が、VirFを含むSkp1-Cdc53-cullin-F-box複合体によるタンパク質分解の特異的な標的となることを示している。アグロバクテリウムによる遺伝的形質転換時にプロテアソーム分解が重要な役割を果たすことは、T-DNAの発現がプロテアソーム阻害剤で抑制されることからも明らかであった。 Full Text PDF 目次へ戻る