Letter 進化:病原細菌に見られる協同作用と競争 2004年8月26日 Nature 430, 7003 doi: 10.1038/nature02744 利他的協同作用の説明は進化生物学が抱える最大課題の1つである。この問題の解答の1つは、コストのかかる協同作用が血縁個体に直接向けられた場合を考えるものだ。この血縁選択という考え方は影響力が絶大であり、微生物から脊椎動物にまで広く適用されてきた。ところが、資源をめぐって局所的な競争がある場合、問題が出てくる。こうした競争は血縁個体間の競争につながり、協同作用に対する選択が減退してしまうからである。今回、実験的進化の手法を使って、競争の規模による影響と、競争の規模がどのように血縁度と相互作用するかを検証した。我々が調べた協同作用の形質は、病原細菌である緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)における、鉄の取り込みに使われるシデロフォア(親鉄剤)の産生である。得られた結果では予想通り、処理により血縁度を高めるほど、協同作用によるシデロフォア産生レベルが高くなるよう進化した。しかし、局所的競争が多いほどシデロフォア産生レベルが低くなるように選択が働くことや、血縁度と競争の規模との間には有為の相互作用があることも明らかになった。つまり競争の規模が局所的であるほど血縁度の影響が小さくなることが示された。もっと広く見ると、競争の規模は、微生物における協同作用の進化にとって、そしてまた病原性微生物の毒性にとっても特に重要であるらしい。なぜなら、シデロフォア産生などの協同作用形質は毒性の決定に重要な役割をもつからである。 Full Text PDF 目次へ戻る