Letter 認知:複雑な聴覚行動は単純で敏感な方向づけから生じる 2004年8月12日 Nature 430, 7001 doi: 10.1038/nature02787 音響信号の認知と定位は音によるコミュニケーションに欠かせない。単純な聴覚系をもつ動物であっても、種特異的な音響パターンの情報処理は複雑な神経機構によって行われていると考えられている。コオロギの雌は雄の鳴き声に向かって進むが、これに関する現在のモデルは、鳴き声の経時的構造に基づくパターン認識をする仕組みを提案している。さらに、雌は左右の認知ネットワークで出力を比較して定位し、これにより種特異的な歌に最も近いパターンを目指して進むと考えられる。今回我々は、雌コオロギの動きを高感度な方法で測定し、雌コオロギが歩行や飛行の際にコミュニケーション信号の音響パルスの1個1個に対してすばやく反応して音に向かって進行することを示す。つまり音による方向定位は、個々の音響パルスに対する敏感な運動応答から生じる。この敏感な運動応答は歌の構造に基づくものではないが、何らかのパターン認識過程がもっと長い時間スケールでこの反応のゲインを調整している可能性がある。これらの知見は、昆虫の聴覚行動の概念や、コオロギのような聴覚性の方向定位能を備えた生物ロボットの開発に関係してくる。 Full Text PDF 目次へ戻る