Letter

考古:デンプン粒の解析から明らかになった旧石器時代後期の野生穀類の加工処理

Nature 430, 7000 doi: 10.1038/nature02734

大麦(Hordeum vulgare L.)や小麦(1粒系のTriticum monococcum L.や2粒系のTriticum turgidum L.)は南西アジア農業の主要な「創始穀物」だった。食糧を探す生活から食糧自給生産への文化の移行を考えるうえで重要な2つの問題は、解明がほとんど進んでいない。これらは、ヒト集団が習慣的に小麦や大麦の野生変種を食糧にし始めた時代がいつ頃だったのか、また、食糧を探す生活をしていた人々が、ついたりひいたりする製粉技術を初めて使って、大麦・小麦やその他の植物の堅い繊維質の種子を消化しやすい食材に加工するようになった時代がいつだったのかという問題である。本論文では、大麦やおそらく小麦などのイネ科植物の種子をヒトが加工処理したことを示す最古の直接的証拠、すなわち、イスラエルにあるオハロII遺跡の旧石器時代後期層の石製粉ひき用の道具からデンプン粒が見つかったことを報告する。関連する証拠として、この遺跡ではオーブンのような炉床も見つかっており、このことからみて、穀粉から作ったパン生地が焼かれたと思われる。我々の得たデータは、南西アジアで穀類が栽培化されるより少なくとも12,000年前に、ヒトが特定の野生穀類を日常的に加工処理し、それに加え穀類をひいた粉の調理に成功していたことを示すものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度