Letter 遺伝:線虫Caenorhabditis elegansの核ゲノムにおける変異率の高さと挿入の優位 2004年8月5日 Nature 430, 7000 doi: 10.1038/nature02697 突然変異は遺伝病の発現に重要な役割を果たし、また進化の基盤でもある。しかし現在は、変異の自然発生率や変異様式の割合の推定値は、間接的で偏りのある測定値に基づいて出されている。たとえば、線虫における変異率の推定値は、見てわかる表現型をもつ数個の遺伝子座についての観察結果から導かれたもので、10倍程度の違いがある。哺乳類ではこれに代わる方法として偽遺伝子座と四重に縮重したコドンの位置の系統学的比較を行う方法があるが、比較する生物種が分岐後に経た実際の世代数がはっきりしないことや、自然選択に伴う偏りを排除できないことが問題となる。今回我々は、変異を蓄積する線虫系統一組を用いて、核で起こる変異の頻度とその変異様式の割合を直接的に偏りなく推定した。その結果、これまでの間接的な推定値の約10倍に上る高い変異率が得られ、欠失より挿入が多いことが明らかになった。線虫の偽遺伝子の変異パターンでは欠失が圧倒的に多いので、今回の観察結果は、ゲノムの小型化を進めるのに自然選択が重要である可能性を示しており、また偽遺伝子の発散が自然突然変異の様式を正確に反映しているという現在の一般的な見方に疑問を投じるものである。 Full Text PDF 目次へ戻る