Letter 環境:円石藻類の石灰化に微量金属利用可能性が及ぼす作用 2004年8月5日 Nature 430, 7000 doi: 10.1038/nature02631 大気中の塵の海洋中への堆積は、地質学的な時間スケールにわたって、かなり変動してきた。塵に含まれる一部の微量金属は植物にとって必須の栄養素なので、海域によっては植物プランクトンの成長を制限する可能性があり、海洋表層への塵の供給量の変動は一次生産に影響を及ぼしうると考えられてきた。微量金属の利用可能性が光合成による炭素固定に果たす役割はかなりの注目を集めているが、それが生物活動による石灰化に及ぼす影響の方はほとんど明らかになっていない。粒子状有機炭素と炭酸カルシウム(CaCO3)の生産はいずれも、海洋の生物学的炭素ポンプを駆動する。粒子状有機炭素とCaCO3搬出の比(rain比)は、深海におけるCO2の隔離を決定づける因子の1つである。今回、必須微量金属である鉄および亜鉛が、CaCO3を生産する重要な微小藻類Emiliania huxleyiに及ぼす影響について調べた。鉄の濃度が低いと、成長および石灰化は等しく低下するが、亜鉛濃度が低い場合はこれら2つの過程は分離することがわかった。亜鉛の量が制限されている細胞では細胞の成長速度は低下するにもかかわらず、細胞1個あたりのCaCO3の生産速度は影響を受けないので、高度に石灰化された細胞が生じる。これらの結果は、塵の堆積量の変化は微量金属が制限されている海域で生物が行う石灰化に影響を及ぼし、その結果として大気と海洋の間におけるCO2の分配に影響する可能性があることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る