Letter 生態:真社会性昆虫の一種で見られる、雄を産む繁殖ワーカーによる社会寄生 2004年7月29日 Nature 430, 6999 doi: 10.1038/nature02769 真社会性昆虫(働きバチや働きアリなどのワーカー階級がある)に見られるような究極の協同作用の進化は、群れの仲間の利己的な繁殖によって損なわれる可能性がある。一部の真社会性の膜翅目(アリやハチ類)では、ワーカーは未受精卵を産んで雄の子を作る能力をもっている。血縁選択説では、こうしたワーカーによる繁殖の頻度は、出身コロニーの血縁度構造と、コロニーにかかるワーカー繁殖のコストとの関数になると考えられている。しかし、この説ではワーカーによる繁殖の頻度を部分的にしか説明できなかった。今回我々は、真社会性のツチマルハナバチ(Bombus terrestris)のワーカーが血縁関係のない同種のコロニーに入って繁殖し雄成体を作り出すこと、そしてこうした社会寄生型ワーカーは、自身の出身コロニーで繁殖する定住ワーカーに比べて早めに繁殖し、繁殖能力も攻撃性も有為に高いことを示す。したがって、ワーカー繁殖の頻度、ひいてはワーカーの利己主義が協同作用の進化を損なう可能性を説明するには、血縁選択が定住ワーカーにもたらす利益を考察するだけでなく、それを超える研究が求められる。また種内社会寄生といった、実際ワーカーが利用できる繁殖の選択肢すべてを知る必要がある。 Full Text PDF 目次へ戻る