Letter 進化:ウォレシア域のコウモリ類に見られる倍音ホッピング 2004年6月24日 Nature 429, 6992 doi: 10.1038/nature02487 進化上の種の分岐は生態環境の移行によって促され、こうした移行が調和配偶も促進させた場合には特に分岐が速い。キクガシラコウモリ科( Rhinolophidae)はそもそも多様性に富み旧世界に生息した科で、過去500万年で急速に放散した。これらの虫食性コウモリは、蝸牛や下丘が超音波純音の周波数に対して特に鋭い聴覚斑に適合した主に純音からなる反響定位超音波を使って、昆虫の羽ばたきで発生する反響音波の振幅や振動数のわずかな変化を感じ取る。ここで発せられる信号は、倍音の連続の一段と強い第2倍音で、連続の基本音と第2以外の倍音はフィルターで取り除かれる。今回我々は、キクガシラコウモリの一種(Rhinolophus philippinensis)の同所性で大きさの違う3型が、同一の基本周波数のそれぞれ違う倍音で反響定位を行うことを報告する。これらの型が遺伝的に分岐したのは最近のことで、この過程は複数回、平行して起こった。倍音の切り換えが、入手できる獲物に対するコウモリの知覚に不連続性を生じさせ、これが分断性選択を開始させうるのだと考えられる。さらに、キクガシラコウモリの発声周波数は資源獲得とコミュニケーションという2つの機能をもつため、遺伝子交流に対する外的障壁の有無にかかわらず、周波数にかかる生態上の選択が調和配偶につながり、そして最終的には生殖的隔離や種分化に至った可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る