Letter 地球:始新世初期の地球温暖化をもたらす機構となった火山性海盆からのメタン放出 2004年6月3日 Nature 429, 6991 doi: 10.1038/nature02566 約5,500万年前の始新世の始まりは、20万年に及ぶ極度に地球が温暖化した期間で特徴づけられる。海洋および陸上堆積物中の炭素同位体および酸素同位体に見られる負の偏位は、この事件と同位体の枯渇した炭素が大量かつ急速に(約1万年で)供給されたこととの関連を示している。これまで、海洋堆積物中に埋蔵されたガスハイドレートの大量融解が炭素の供給源となり、全球の気候変動が引き起こされたと考えられてきた。しかしながら、ハイドレートが大量に融解するためには、引き金となる未知の機構が必要である。本論文では、ノルウェー海にあるVøring海盆およびMøre海盆の反射法地震探査断面で数千もの熱水噴出口集団が存在する証拠を発見したことを提示する。北東大西洋の炭素に富んだ堆積層中におびただしい量のマントル由来の溶融体が貫入し、暁新世と始新世の境界近くでメタンの爆発的な放出が起こり、熱水噴出口の集団を通じて海洋や大気へと運ばれた可能性があると考えられる。シベリア・トラップ(約2億5,000万年前)やカルー火成区(約1億8,300万年前)などの他の大規模な火成区に関連した気候変動は、同様な火山性の変成過程で説明できるかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る