Letter 生態:魚類に見られる意外に動的な性的役割 2004年6月3日 Nature 429, 6991 doi: 10.1038/nature02562 雌雄それぞれが果たす性的役割はその種によって固定されていると普通考えられている。大部分の動物では雄は雌をめぐって競争し、雌は雄よりも慎重に配偶相手を選ぶ。したがって性選択は通常、雄のほうに強く作用する。この説明として、雄の増殖率が潜在的に雌よりも高く、雄は性的に積極的となる割合が大きい(実効性比が雄に偏る)からだとされる。しかし、性的役割や性選択の強さを何が決めるのかについては諸説があり、盛んに議論が交わされている。今回の大規模野外研究で、我々は魚類(ハゼ科のトゥースポッテドゴビー;Gobiusculus flavescens)の交配競争に顕著な経時的可塑性が見られることを報告する。短い繁殖期が経過する間に、雄同士の猛烈な競争や雄の激しい求愛行動は、雌同士の競争や雌からの積極的な求愛へと置き換わった。つまり性的役割の逆転が急速に起こった。これは、脊椎動物で性的役割の移行が見られた初めての例である。この移行は、雄の個体数が大きく減少し、性比が雌へ大きく傾いたことによって説明できるかもしれない。注目すべきことに、この性的役割の逆転が起こったのは実効性比が1:1のときではなく、通説となっている性的役割理論に反する結果となった。 Full Text PDF 目次へ戻る