Letter 視覚:対象に依存した注視が両眼視野闘争の際の優占度を決める 2004年5月27日 Nature 429, 6990 doi: 10.1038/nature02584 哲学、心理学、神経科学における積年の疑問のひとつは、脳は複数の信号のうちどれを意識に上らせるかを決める選択の仕組みである。両眼視野闘争と注視は、ともに視覚刺激を選択する過程を含むが、知覚への影響は大きく異なる。両眼視野闘争では、左右の目に入った2つの異なる信号の間を意識が交互に移る。それに対して注視では、2つの異なる刺激の一方に注意を向ける間、他方への弁別能は低下するものの意識から消えることはない。ここでは、注視と視野闘争に上のような差はあっても、これらは対象に基づく選択機構を共有することを示す。透明な表面に描いて重ねた2つの対象のうち、一方に注視を向けさせた後、左右の目からどちらかひとつを除いて、両眼視野闘争状態にした。すると被験者は通常、注視対象だった方を見ていると報告した。また、非注視対象の形質に予測不能な変化を与えてやると、これを判定する正確さも劣っていた。今回の試験では、注視を向けさせた表面が選択されるのは、その空間位置や視野、あるいは対象の形質に基づく選択の結果ではないようにしておいた。一方の対象に注視を向けると、そのことによって両眼視野闘争の際にもう1つの表面の知覚が抑圧された。この結果から、知覚上のこれら2つの選択の際、複数の視対象の提示では、対象の形質が時間とともに予測できない変化を示している場合であっても、どのようにして競争が起こるのかという問題が浮かび上がってくる。 Full Text PDF 目次へ戻る