Letter 工学:遺伝子発現の論理制御を可能とする自律的分子コンピューター 2004年5月27日 Nature 429, 6990 doi: 10.1038/nature02551 初期の生体分子コンピューターの研究では、複雑な計算問題を解くために、実験室規模において人間が補助するコンピューターに主眼がおかれていた。最近では、単純な分子スケールの自律的でプログラム可能なコンピューターが報告されており、入力情報と出力情報の両方を分子状態で扱えるようになっている。このようなコンピューターは、生体分子を入力データとして、また生物活性を示す分子を出力として用いることで、生物学的過程の「論理的」制御システムとなる可能性がある。本論文では、自律的な生体分子コンピューターが、少なくともin vitroにおいて、メッセンジャーRNA分子種の濃度を論理的に分析し、これに応じて遺伝子発現レベルに影響を及ぼしうる分子を生成することを示す。このコンピューターは、1マイクロリットルあたり1012台のコンピューターに近い濃度で作動し、プログラム可能な3つのモジュールから構成される。演算モジュールは確率的な分子オートマトンである。入力モジュールによって、特定のmRNA濃度または点突然変異がソフトウエア分子濃度、ひいてはオートマトンの転移確率を調節する。出力モジュールは、短い1本鎖DNA分子の制御された放出を行う。今回の方法は、生化学センサー、遺伝子工学、さらには医学分野の診断および治療にin vivoで応用可能と思われる。この原理を実証するために、このコンピューターを、小細胞肺癌および前立腺癌のモデルに関連する疾患関連遺伝子群のmRNAを同定して分析し、抗癌剤として働くように作った1本鎖DNA分子を生成するようにプログラムした。 Full Text PDF 目次へ戻る