Letter 医学:逆行性輸送を行うレンチウイルスベクターによるVEGF導入はマウスALSモデルを延命させる 2004年5月27日 Nature 429, 6990 doi: 10.1038/nature02544 筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、成人期に脳と脊髄の運動ニューロンの進行性変性が起こり、その結果ほとんどの患者に麻痺が生じて、発症後3年から5年で死亡する。ALSにはまだ治療法が見つかっていないが、これはALSの病因が複雑で十分に解明されていないためである。最近の報告では、ALS発症の素因を持つマウスとヒトで、血管形成に不可欠であり神経保護にも関与すると考えられている血管内皮増殖因子(VEGF)の濃度低下が報告されている。しかし、ALS治療法におけるVEGFの有効性はこれまで評価されたことがなかった。今回我々は、スーパーオキシドジスムダーゼ-1の変異型 G93Aをコードしている遺伝子を過剰発現するように遺伝子操作をほどこしたマウス(SOD1G93A)を使い、VEGFを発現するレンチウイルスベクターを各種筋肉に単回投与することがALSの発症と進行を遅らせることを報告する。また、この効果は、麻痺を発現した時点で治療を開始した場合でも同じであった。VEGFの投与は、ALSマウスの平均余命を30%まで延長し、毒性の副作用は見られなかった。従って、これはALSについてこれまでに報告されてきた治療法のなかで最も有効な治療法といえる。 Full Text PDF 目次へ戻る