Letter 海洋:北大西洋の東部熱帯海域では鉄とリンが共に窒素固定量を制限している 2004年5月20日 Nature 429, 6989 doi: 10.1038/nature02550 富栄養、低クロロフィルの海域で植物プランクトンの生産力増強に鉄が一役買っていることは、まず最初に鉄添加のバイオアッセイ実験から明らかになり、次いで大規模な鉄肥沃化実験によって実証された。地質学的時間スケールでは、鉄の供給量が窒素固定量を制限し、ひいては海洋の一次生産力を制限することから、リンに代わる最終的な制限的栄養物質になるとする仮説が立てられている。海洋学的な観察からはこの仮説の確証とも反駁ともとれる諸結果が得られているが、直接的な実験上の証拠はまだ得られていない。我々は北大西洋熱帯海域までのMeteor 55号による航海に際して、この仮説を検証するために実験を行った。この海域はジアゾ栄養生物が豊富で、サハラ砂漠から飛んでくる砂塵に大きな影響を受ける。今回我々は、群集一次生産力が窒素量に制限されたこと、そして窒素固定量が鉄とリンにより共同的に制限されたことを示す。サハラの砂塵が付加されると窒素固定が促進されたが、おそらくこれは鉄とリンの双方が供給されるためだと思われる。今回得られた結果は、北大西洋の東部熱帯海域では風成鉱物塵の堆積が窒素固定を促進させているとする説を裏づけるものである。 Full Text PDF 目次へ戻る